🏃♂️短距離選手の“移行期”とは?
ただ休むだけじゃない賢いオフシーズンの過ごし方
シーズンが終わると、「しばらく休もう」と思う選手も多いはず。
確かに、夏の大会を走りきった体は疲労が溜まっていて、一度リセットすることは大切です。
でも、ただ何もせずに休んでしまうと、せっかく積み上げた感覚や筋力が落ちてしまい、冬季練習のスタートで出遅れてしまうこともあります。
そこで重要になるのが「移行期(トランジション期)」です。
今回は、短距離選手が移行期に何を意識し、どう過ごすべきかを紹介します。
🕐移行期とは?目的と期間
移行期とは、競技シーズンの終わりから冬季練習が始まるまでの2~4週間ほどの期間を指します。
この時期の主な目的は、次の3つです。
- 肉体的・精神的な疲労を抜く
- シーズンで見つかった課題を整理する
- 冬季に向けての準備を始める
「完全休養」ではなく、積極的休養(アクティブレスト)の期間と考えるのがポイント。
体を完全に止めず、軽く動かしながら疲労を抜くことで、コンディションを落とさずにリフレッシュできます。
🚫やってはいけない過ごし方
①完全に動かない
1~2週間まったく動かないと、筋力やスプリント感覚が想像以上に落ちます。
特に短距離選手は、神経系の感覚が鈍ることで、再開時に「体が重い」「スピードが出ない」と感じやすくなります。
②無理に追い込み続ける
逆に、疲労が抜けないまま走り込みやウエイトを続けるのもNG。
体が回復していない状態で負荷をかけると、疲労骨折や肉離れなどのリスクが高まります。
③明確な目標がない
「なんとなく休む」だけでは、移行期の意味がありません。
この期間に次シーズンへ向けた**“整理と準備”**をしておくことが大切です。
✅正しい過ごし方3ステップ
STEP1:疲労を抜く(1週目)
- 軽いジョグ、ウォーキング、ストレッチを中心に
- お風呂・マッサージ・睡眠でリカバリーを意識
- 練習動画を見返して、自分の課題を整理する
まずは「動く休養」で体を緩め、気持ちをリセットすることから。
STEP2:基礎を整える(2~3週目)
- 体幹・柔軟性トレーニング(プランク、ヒップリフト、ヨガなど)
- 軽負荷のウエイトトレーニングでフォーム維持
- ドリルで正しい動きを確認(スキップ、Aドリル、もも上げなど)
この時期に姿勢と可動域を整えることで、冬季練習に入ってからの怪我リスクを減らせます。
STEP3:次シーズンへの計画
- 課題を書き出し、「冬季で何を改善するか」を明確に
- 練習メニューを見直す(例:加速重視/トップスピード強化など)
- 新しいスパイクや補強方法を検討する
移行期の終わりには、「次に何をやるか」が決まっている状態が理想です。
目標を数値(例:100mで0.2秒短縮)で書き出すと、冬季の練習意欲が高まります。
🧘♂️おすすめメニュー(週2~3日)
| 種類 | 内容 | ポイント |
| ストレッチ | 全身(特に股関節・ハム・肩) | 可動域を広げる |
| ジョグ+流し | 2〜3kmジョグ+30〜50m×3本 | 動きの感覚を維持 |
| 体幹 | プランク・サイドプランク・ヒップリフト | 体の安定性を保つ |
| クロストレーニング | 水泳・自転車・登山など | 新鮮な刺激でリフレッシュ |
飽きないように“楽しめる運動”を取り入れるのがポイントです。
🔁まとめ:移行期は「整える」時間
移行期は“休む期間”ではなく、“次につなげる期間”。
シーズンを振り返り、体と心をリセットしながら、冬季練習に入る準備を整えましょう。
- 完全休養ではなく「動く休養」を意識する
- 基礎・柔軟性・体幹を整える
- 次シーズンに向けた課題を明確にする
この2~3週間をどう過ごすかで、冬季練習の入りが変わります。
“休み方が上手い選手”こそ、1年を通して強くなっていきます。
この時期を「オフ」ではなく「準備期間」と捉え、自分の体や心と丁寧に向き合ってみてください。
わずか数週間の過ごし方が、来シーズンの記録更新に直結します。
焦らず、でも止まらず。
“整える移行期”を過ごして、次のスタートラインに最高のコンディションで立ちましょう。

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