サーキットって短距離選手に本当に必要?
「実際にしてタイムに繋がるの?」と思ったことはありませんか?
実はサーキットはトップスピードを上げるトレーニングではなく、後半の“減速を抑える能力”を強化するメニューです。
特に100m後半での粘りや、200m・400mでのラストの失速を防ぐのに非常に効果的です。
この記事では短距離選手におけるサーキットの効果と、冬季に取り組むべき理由について、科学的根拠と実体験から解説していきます。
サーキットの主な効果
主な効果としては、
- 筋持久力の向上:後半でのパワー低下が小さくなる
- 心肺機能の向上:回復力が上がり、高強度の練習が可能になる
- 乳酸耐性の向上:乳酸が溜まって苦しい状態でも動作を維持する能力が上がる
他にも効果はありますが主にこれら3つの効果が期待されます。
ただし、サーキットによって最大速度(トップスピード)が上がるわけではありません。トップスピードは主に神経系、地面反力(RFD)、プライオメトリクス、スプリント練習などで向上するため、サーキットはあくまで補助的な位置付けになります。
また、サーキットは基本的に冬季中に行うのが一般的です。理由としては、シーズン中に行うことで疲労が蓄積してしまう恐れがあり、スプリント練習の質に悪影響を与える可能性があるためです。サーキットは身体の基礎能力を高める目的が強いので、基礎期(冬季)に重点的に取り入れることが効果的だとされています。
それでは筋持久力の向上・心肺機能の向上・乳酸耐性の向上の3つの効果ついて詳しく解説していきます。
筋持久力の向上
短距離走の後半では、筋疲労・乳酸蓄積・パワー低下が起こりやすく、それによりストライドの減少や接地時間の延長が起きます。これらはスピード低下に直結する現象です。つまり「失速」の原因です。
- 筋疲労
- 乳酸蓄積
- パワーの低下
サーキットでは同じ筋群を連続的に使い、疲労した状態でも動き続けることによって、筋力の耐久性が向上します。その結果、レース後半のパワー低下を緩やかにでき、減速を抑えることにつながります。
つまり、100mでは70m以降、200mでは120m以降、400mでは300m以降で“粘れる”走りができるようになります。この部分は試合の結果を左右する重要な局面なので、サーキットによる筋持久力向上は短距離選手にとって非常に意味があります。
心肺機能の向上
心肺機能の向上とは、有酸素能力の増加を意味します。「短距離選手に有酸素が必要なのか?」と疑問に思うかもしれませんが、短距離でも有酸素能力は重要です。
心肺機能が高まるということは、酸素を使ってエネルギーを作ったり、疲労物質(乳酸など)を処理する能力が高まるということです。
短距離の練習ではインターバル走や反復スプリントなどのメニューが多く、セット間の回復能力が高いほど質の高いスプリント練習ができます。有酸素能力が高いほど疲労が取れやすく、次のダッシュをより良い状態で行えるため、スプリント練習の質が落ちにくくなるというメリットがあります。
結果として、高強度トレーニングを継続できる体を作りやすくなり、最終的には競技力向上につながります。
乳酸耐性の向上
乳酸耐性とは、乳酸が溜まった状態でも動きを維持する能力を指します。乳酸はたまるだけなら悪者ではありませんが、乳酸が多く作られる状況では筋肉が酸性に傾きやすくなり、結果として収縮パワーや速度が低下します。
そのため乳酸が蓄積すると、
- 接地時間が長くなる
- 接地の強さが低下する
- ピッチが落ちる
- ストライドが減少する
といった現象が起こり、速く走ることができなくなる原因になります。
サーキットを行うことで、乳酸が溜まった状態でも動作を維持する能力が向上し、後半の減速を抑えることができます。これは練習の質の向上にもつながり、実際のレースで効果が出やすい要素です。
10.4秒台の私が感じたサーキットのリアルな効果
私自身サーキットはすごく苦手なメニューです。やっている最中は肺がしんどくなり、脚も動かなくなってくる感覚があり、長い時間の補強を繰り返すのは正直かなり辛いです。笑
ですが、サーキットを続けたことで先ほど挙げた効果を実際に感じることができましたし、メンタル面でも強くなった感覚があります。「辛いメニューをやり切る」という経験が、冬季練習中のスプリント練習やウエイトトレーニングにおいても辛さを感じにくくしたと思っています。
おそらく、サーキットを通して筋持久力や心肺機能が向上したことに加えて、きつい状況でも粘る経験を積めた結果、心身ともに強くなったと感じています。そのおかげで冬季練習を諦めずに乗り切ることができたと思います。笑
サーキットは辛いメニューではありますが、総合的な競技力の向上とともに精神的な部分でもプラスに働きます。冬季の基礎作りとして取り入れることで、シーズンでのパフォーマンス向上や自己ベスト更新を狙っていきましょう!
まとめ
短距離選手におけるサーキットは、トップスピードを直接伸ばすものではありませんが、スピードを維持する能力、つまり「後半でどれだけ粘れるか」を高めるために非常に重要です。筋持久力や乳酸耐性、心肺機能といった基礎部分を強化することで、スプリント練習の質が向上し、結果として競技力アップにつながります。
特に冬季にサーキットを取り入れることで、春以降のスプリント練習を高い質で積み重ねる準備が整い、シーズンのパフォーマンスに良い影響を与えることが期待できます。
短距離を本気で速くなりたい選手ほど、冬季のサーキットをしっかり取り組むことが重要だといえます。
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